このニワトリ型のエッグスタンドは、祖父が朝食時に半熟卵を食べる時に使用していたものです。卵は、祖父が尊敬していた長谷部鋭吉先生のご子息がされていた養鶏所(村野宅のお隣でした)からの新鮮なものでした。スプーンの後ろで、卵のてっぺんをこんこんと叩いて割り、そこに塩をぱらぱらとふりかけて食べていた様子を思い出します。その時に使っていたのがこのニワトリエッグスタンドでした。

ちなみに当時の祖父の朝食は決まって次のようなものでした。

村野藤吾朝食メニュー:
少し焼目がつくまで焼いたサンドウィッチ用の薄いトースト1枚
半熟卵1個
膜がはらないくらいのぬるめのミルクを水色のマグカップで1杯
小梅3粒
らっきょ3粒
メザシ3匹
自家製青汁1杯(ほうれん草、キャペツ、セロリ、リンゴにレモンを搾る)

93歳まで現役で仕事をしていた祖父の朝食メニュー。シンプルですが、当時のお手伝いさん方の細やかで愛情溢れる毎日のお気遣いに感謝せずにはいられません。